2018.06.15
6月13日に大阪、6月20日に東京の両会場で開催された「ベンベルグ®大学」からはじまった、2017年度の産学連携プロジェクト「FORM PRESENTATION」。第11回目となる今回は、旭化成とのコラボレーションで「日本発:未来へ向かう快適機能素材」がテーマとなっている。6倍もの倍率となったコンペティションを通過した8グループが、この日のために各々の制作に励んできた。
「JFWジャパン・クリエーション2018A/W」が開幕する前日、会場となる東京国際フォーラムに学生チームが設営のために続々と集まってきた。8つのグループが一堂に会すのは、8月に行われた滋賀県守山市の研究所の見学以来である。
東京国際フォーラム内に設けられた「FORM PRESENTATION」ブース内にて、時間いっぱいまで準備をする学生チームの面々。緊張感が漂う中、作品は着々とマネキンに着せられていった。11月28日、29日の2日間、このブースに来場者を迎え、学生たちが自らプレゼンテーションをする。来場者には採点表が配られ、プレゼンテーションを受けた後に評価していく。8グループそれぞれの作品は、業界のプロからのフィードバックを受け、順位が付けられるということだ。
「FORM PRESENTATION」ブースは、「JFWジャパン・クリエーション2018A/W」の受付カウンターの裏手という好立地で、堂々とした展示空間が完成した。正面から入ってブースの左半分は<ベンベルグ>素材について、実物や動画で来場者に伝える<ベンベルグ>の展示ブースとなった。
そして右半分は、8つのチームによる成果物の発表ブース。1チーム3体ずつ、合計24体の作品が並んだ。無事に開幕した余韻に浸る間もなく、展示ブースは来場者でいっぱいとなり、学生たちは力を込めて、各々のクリエーションについて説明していった。
手作業でのタック、プリーツ、刺し子、ギャザー、ドローストリングなど、こだわりの手仕事が詰まった作品となった。
<ベンベルグ>のドレープを美しく出すために、縫い代を4mmの細さの3つ巻きステッチで仕上げた。「これまで縫った中で、一番難しい素材だった」と話すが、ディテールのクオリティは高い評価をいただいたと言う。
プリーツ、スモッキングなどのクラフトを組み込みながらも、リアルクローズに仕上げた。「プリーツやスモッキング分の生地の用尺を計算して、パターンを作るのが難しかった。チームで3体作る過程で本当に勉強になりました」と振り返った。
製品染めにチャレンジした作品となった。独特のグラデーション染めが強い存在感を放っていた。「何度も染色テストをして大変でしたが、理想の色を出せて良かったです」と安堵の表情を見せた。
<ベンベルグ>の発色性の高さと軽さを活かして、未来のスポーツウェアを発表した。「アパレル業界の来場者の方から直接たくさんのアドバイスをいただけて、とても勉強になっています」と話した。
ヒートガン加工で表情を作ったテクスチャーが印象的な作品となった。「思ったようなシルエットが出るかギリギリまで不安だったのですが、理想通りの形になり一安心です」と話した。
工場から戻ってきたプリーツ加工の生地の裏にさらに手作業でスモッキングを施して、3体それぞれのプリーツの表情を変えた。
「納期との戦いでした」と振り返ったが、プリント、キルティング、フロッキー、箔加工と、予定していた全てのアイデアを見事に作品に落とし込み、素材のプレゼンボードも用意してきていた。
テキスタイル・クリエーションに関心のある人材を増やし、日本発のテキスタイルをより魅力溢れるものにしていくことを目的に2007年に発足した「FORM PRESENTATION」。
同じテーマでも、それぞれのチームの個性が存分に生きた、多種多様なアウトプットが並んだ。
初日の「ベンベルグ®大学」の説明では、「ファッションテーマを『未来の快適美を創造する』と設定していますが、ずっと先の未来ではなく、学生の皆さんが等身大で考える近い未来において、どういった服を作りたいか、どういった服を着たいかというアイテムをデザインしていただきたい」と強調した、当プロジェクトのコーディネーターの兼巻豪氏。
無事に発表を終えて、改めて兼巻氏に感想を聞いた。
「FORM PRESENTATIONはファッションコンテストだと思われがちなのですが、実は主旨が違っていて、学生のうちに実践の形でテキスタイルの持つ可能性を引き出すデザインに挑戦してもらうという狙いがあります。これから学校を卒業してデザイナーになる方もいると思います。今回の経験が生きる日がきっと来ると思います。どのチームも、私たちのアドバイスをきちんと反映してくれて、本当に頑張ってくれました。皆さん、お疲れ様でした。」と締めくくった。
2018年2月10日